風邪薬は本当に必要?小児科医が考える「使う薬・使わない薬」

③受診・医療の知識


お子さんが風邪をひくと、

「薬は飲ませたほうがいいの?」
「咳止めって必要?」
「痰切りは飲んだほうが楽になる?」

と迷うことはとても多いです。

実際、診察室でもよく相談されます。

はじめての風邪だと、
「何かしてあげないと…」と不安になりますよね。

今回は、風邪薬について
小児科医の実際の考え方をお伝えします。


結論:風邪薬は“治す薬”ではなく“楽にする薬”です

まず大事なポイントです。

風邪の多くはウイルス感染です。
そのため、風邪そのものを早く治す薬は基本的にありません。

つまり、

薬=早く治る
ではありません。

ただし、

・つらい症状をやわらげる
・眠れるようにする
・生活しやすくする

こういった目的で薬を使うことはあります。


理由・解説:薬ごとに考え方が違います

■ 痰切り(去痰薬)はどう考える?

痰切りは、

「痰や鼻水を出しやすくする薬」です。

特に小さい子は、
痰をうまく出すことができません。

そのため、

・痰がからんでゼロゼロする
・咳き込みやすい
・眠りにくい

ということが起こりやすいです。

こういう場合、
痰を出しやすくすることで楽になることがあります。

実際の診療でも、

「飲んだほうが楽そう」
と感じる場面は少なくありません。

ただし、

研究としては「劇的に効く」と言えるほどの強い根拠はありません。

なので、

全員に必須というより
「必要な場面で使う薬」という位置づけです。


■ 咳止めはどう考える?

咳はもともと、

ウイルスや痰を外に出すための反応です。

つまり、体にとっては大事な働きです。

そのため、

「むやみに止める必要はない」
という考え方があります。

実際に、

・咳止めがプラセボと大差なかった
という研究もあり(効果もあるという研究もあります)

全員に一律で使うことは勧められていません。


医師の視点:それでも咳止めを使う理由

ここがとても大事なポイントです。

クリニックに来るお子さんは、

・咳で夜眠れない
・咳き込みで吐いてしまう
・親も子も疲れている

というケースが多いです。

こうなると、

「咳を完全に止める」ではなく
「少しでも楽にする」ことが大事になります。

特に、

夜眠れるかどうか
これはかなり重視しています。

なので、

・生活への影響が大きい
・睡眠がとれていない

こういう場合は、咳止めを使うことがあります。


ケース分け:実際によくあるパターン

■ ① 小さい子で痰・鼻水が多い

→ 痰切りを使うことが多いです

+鼻吸いがとても大事です


■ ② 夜だけ咳が強い

→ 咳止めを検討します

特に「眠れない」は大きな判断ポイントです


■ ③ 咳はあるけど元気

→ 薬なしで様子を見ることも多いです

・食べられる
・眠れる
・元気がある

この3つがそろっていれば、
無理に薬を使わないこともよくあります。


注意点:ここは見逃さないでください

「薬がいるかどうか」より大事なのが、

その咳が危ないかどうかです。

以下の場合は受診をおすすめします。

・息が速い
・苦しそう(肩で呼吸)
・顔色が悪い
・水分がとれない
・ぐったりしている
・咳が長引きすぎている

また、

市販の風邪薬は
小さい子では使えないものも多いので注意が必要です。


まとめ

風邪薬は、

「早く治すための薬」ではありません。

でも、

「つらさを減らすための薬」として
役立つ場面はあります。

・痰切り → 小さい子では助けになることがある
・咳止め → 生活への影響が大きいときに使う

そして一番大切なのは、

その症状が
「様子を見てよいものかどうか」を見極めることです。

迷ったときは、
「薬がいるか」ではなく

「この状態で大丈夫か」

を気軽に小児科で相談してくださいね。


参考文献

  1. Paul IM, et al.
    Effect of dextromethorphan, diphenhydramine, and placebo on nocturnal cough.
    Pediatrics. 2004;114(1):e85-e90.
  2. Chalumeau M, et al.
    Acetylcysteine and carbocysteine for acute respiratory tract infections in children.
    Cochrane Database Syst Rev. 2013;CD003124.
  3. Malesker MA, et al.
    Treatment for acute cough associated with the common cold.
    Chest. 2017;152(5):1021-1037.

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